Case Study
![DYNATREK導入から3年 全社活用で進む業務改革](https://www.dynatrek.co.jp/dynatrek_cms/wp-content/uploads/2024/12/1_1.jpg)
- 事例概要
- 絆創膏や軟膏・硬膏のメーカーとして創業し、長年にわたって培った粘着・接着技術を用いたテープ材を製造・販売するニチバン株式会社(以下、ニチバン)。同社は、大きく2つ のシステムが蓄積した情報を DYNATREKで統合し、全社レベルの組織横断的な情報活用を推進している。稼働から約3年で DYNATREK の活用領域は大きく広がった。事業統括本部では過去の販売実績を分析することで精緻な需要予測と生産計画を策定し、欠品や過剰在庫によるロスを最小限に抑える体制を構築。工場では製造原価を算出し、業務プロセスの無駄を省く現場改善につなげている。
001
定着化に向けた取り組み
ユーザー主体の情報活用を促進
ニチバンは、メインフレームから吸い上げた販売サマリデータや生産マスターデータを格納するRed Brickと、主に販売の明細データや在庫データを扱うOracleの2つのデータベースで構成される情報基盤を長年にわたって運用してきた。しかし、ユーザーが必要な情報を取り出して利用するためには2つのデータソースにアクセスする必要があり、これが効率的なデータ活用を阻害していた。
そこで情報活用基盤をDYNATREKに一本化。定型検索を速やかに実行するための共通テンプレートを約300件登録し、2009年2月よりDYNATREKを運用している。管理本部情報システム部マネジャー安藤洋樹氏は、「社内ポータルからWebベースのDYNATREKにアクセスし、検索項目の選択、条件設定、出力レイアウト指定の手順をたどる自由検索、登録したテンプレートにもとづく定型検索を自由に実行できる仕様にしています。また、販売実績や入出庫など、だれもが閲覧するような25種類のマスターデータの一覧や、DYNATREKのマニュアル、トラブルシューティングもポータルから確認できる仕組みを構築しました。こうしてユーザー主体の情報活用を進めました」と語る。当初はだれもがわかりやすいテンプレートを用意して定着化を図り、ユーザー教育を推進。定着化と歩調を合わせながら次々にテンプレートをリリースしていく手法で、DYNATREKは現場から広く受け入れられるに至った。
ニチバンでは2012年10月現在、約500人のユーザーがポータル経由でDYNATREKにアクセスし、データソースを意識することなく、必要に応じて高度なデータ検索・分析を行っている。稼働後3年間で作成した共通テンプレートは約900。これまでPCのローカル環境に保存されてきた分析ノウハウはユーザーが作成したオリジナルテンプレートとしてDYNATREKに登録されており、その数は約5,000に上る。「DYNATREKではユーザーの検索履歴から利用状況を確認することができます。中には、“いつもの”や“よく使う”など、オリジナルのテンプレートに本人しかわからない名前をつけ、楽しみながら活用しているユーザーもいます」(安藤氏)
002
システム定着で見えてきた成果
欠品や過剰在庫による
ロスを最小化
システム稼働後3年を経て、これまで不可能だったことがDYNATREKで可能になった例がいくつか出てきた。たとえば、小売店から入手する大量のPOSデータをそのまま扱えるようになったこと。これまでは、営業を統括する部署がPostgreSQLに格納されるPOSデータをExcelで加工して営業スタッフに提供してきたため、営業スタッフは生のPOSデータを自由に分析・活用できなかったという。管理本部情報システム部小島里枝氏は、「メディカル事業の営業スタッフは、ドラッグチェーンなどの小売店から入手した大量のPOSデータや販売代理店からの卸販売データをDYNATREKを通じて扱えるようになり、業務の効率化を実現しています」と話しています。
DYNATREKを介して分析し、何が、どこで、いつ、どれだけ売れたかといった消費者の購買動向を詳細につかめるようになりました。このため、販売目標を達成した小売店への適切なインセンティブの付与や商品の売れ行きに合わせた効果的な販促キャンペーンの企画立案につなげることが可能です。
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また、担当するすべての案件を速やかに追えるため、日報などのレポート作成にかかる時間も短縮できているようです」と話す。
部門別に成果を見ていこう。事業統括本部では、事業本部ごとの販売実績や全国にある倉庫の日次在庫を把握し、精緻な需要予測と最適な生産計画を策定。工場に的確な生産指示を出すことで、欠品や過剰在庫によるロスを最小限に抑えるように努めている。
工場・製造現場では、既成品の販売実績を分析して受注予測を行い、適正な生産管理・在庫管理・納期管理を行える体制を整備。原料費や人件費などの直接費と間接費から製品ごとの精緻な製造原価を算出し、計画とのズレを検証するとともに、業務プロセスの無駄を省く現場改善で大幅なコスト削減を実現している。
研究開発部門では、新製品の売れ行きや購買傾向をつかみ、製品価値の向上や市場ニーズにもとづく新たな商品企画に役立てている。
小島氏は、「メディカル事業を展開するわれわれは改正薬事法に準拠し、万一、製品に問題があった場合、直ちにロットの製造記録を調査して速やかに不良品を回収するなどの措置をとることが求められます。DYNATREKを利用し、品目コード、出荷ロット、配荷先、納品日などのデータを横断的に検索し、迅速かつ的確なロット・トレースと品質管理を行う体制を整備できたことも成果です」と語る。事業統括本部等では、経営層への報告業務を円滑化している。これまで同部は、経営層が求めるレポート作成にあたって異なるデータソースから必要な情報を収集し、Excelで加工するプロセスに多くの時間と工数を費やしてきた。いまでは、あらゆるデータへシームレスにアクセスできるDYNATREKにより手間のかかる特殊なレポート作成も必要に応じて定型化しているため、報告業務の負担が軽減した
003
さらなる未来へ向けて
DYNATREKの活用領域を
段階的に拡大
事業統括本部をはじめとするユーザーの要望やミッションに合わせ、必要な機能を容易に追加できることは、DYNATREKの魅力のひとつだ。データを仮想的に統合するDYNATREKでは、データ構造を柔軟に変更し、仕様変更にも迅速に対応できる。このため、情報システム担当者はそれほど大きな手間をかけることなくDYNATREKの活用領域を広げ、ユーザーにさらなる利便性を提供することができる。
ニチバンは今後も、DYNATREKを中核とする情報活用基盤を継続的に拡充し、用途の幅をさらに広げていく。安藤氏は、「DYNATREKの運用初期ではユーザーの慣れを促すため、条件式にほとんど違いのない共通テンプレートを作成・運用してきました。いまでは検索が日々の業務として定着したため、今後はユーザーの検索履歴を見ながらほとんど使われていない共通テンプレートを除去し、より使いやすい運用を探っていきます」と語る。現在、同社はオープン系システムで稼働する販売システムの再構築プロジェクトを実施している。更改を機に別系統のBIツールで実行してきた定型レポートをDYNATREK上の検索テンプレートに移行し、さらなる情報活用を推進したい考えだ。
- 企業情報
- 1918年1月に絆創膏や軟膏・硬膏のメーカーとして創業し、長年にわたって培った粘着・接着技術を生かしたテープ材を製造・販売するニチバン株式会社。絆創膏や医療補助用テープなどを扱うメディカル事業に加え、文具、OAサプライ品などの消費材分野や、塗装用マスキング材、電気絶縁材、接合材などの産業用材分野から成るテープ事業を柱にビジネスを展開している。「環境に配慮したニチバン商品カタログ」の発行など、変化し続ける市場ニーズにこたえる高い技術力と品質を軸に、地球環境に配慮した高付加価値製品を提供している。
![ニチバン株式会社](https://www.dynatrek.co.jp/dynatrek_cms/wp-content/uploads/2024/12/logo.png)