Case Study
![DYNATREKを用いて、経営者・本部・全営業店が活用する次世代のマネジメント・システムを構築](https://www.dynatrek.co.jp/dynatrek_cms/wp-content/uploads/2024/12/3_1.jpg)
- 事例概要
- 株式会社横浜銀行(以下、横浜銀行)は、2013年4月を開始年度とする中期経営計画において営業戦略の転換を発表し、商品軸から顧客軸への営業スタイルの変更を目指すことになった。この計画の実施にあたっては、営業体制や業務プロセスの変更に追随できるマネジメント・システムが不可欠と判断。DYNATREKを導入して経営者・本部と各営業店の情報共有を促進し、新計画における最適な営業展開、優先度の高い顧客への迅速なフォローを実現している。今後は、収益管理の高度化やエリアマーケティングにもDYNATREKを活用していく計画だ。
001
システム導入の背景
顧客を軸とした
新しい営業スタイルの実践へ
横浜銀行は、2013年4月を開始年度とする3年間の中期経営計画「Tackle for the Dream」をスタートさせた。顧客、株主、行員、地域社会にとって魅力あふれる金融機関への成長という長期ビジョンに向け、磐石な営業基盤の拡大・深化と、強靭な経営基盤の維持・強化を図っている。
中期経営計画で示される営業戦略では、「商品」を軸とした戦略から「顧客(世帯・世代)」を軸とした戦略への転換をテーマとしている。従来は、商品を中心に組織・担当者を専門化し、販売目標を設定することで効率的で高い成果を上げてきた。新たな戦略では、顧客の個々のニーズに応じた提案を行い満足度を高めることで、顧客の世帯全体、また子の世代以降においても、横浜銀行をメイン行として取引してもらうことを目的としている。
この戦略では、渉外担当者を預かり資産や住宅ローンなど商品ごとの担当に分けて顧客への提案を行うのではなく、顧客ごとに設定された渉外担当者が、顧客ニーズをもとに多岐にわたる商品を提案できる体制を整備することが必要になる。
横浜銀行営業企画部マーケティンググループグループ長加藤毅氏は、「これまでの営業スタイルでは各商品のスペシャリストの育成が可能な一方、お客様のニーズを細かく把握した上で個人のライフステージやライフスタイルをふまえたトータルな商品を提案する営業のプロを育てる必要性も感じていました。地域に根ざした地銀本来のあり方として、中長期的に徐々に変化していくお客様のあらゆる金融ニーズに対し、正確に、かつ素早くこたえられる環境を整備することが求められていたのです」と語る。
営業活動の推進にあたっては、本部が経済状況や顧客の状況を勘案して、顧客セグメントや、セグメントごとのメイン先数(同行を主要取引先として選ぶ顧客数)、預かり資産・貸出金などの目標を決め、各営業店へ通達する。そして各営業店の管理者はお客様ごとの渉外担当者を決定し、適切な数値目標を設定、営業の進度管理を行い、自店の活動状況を確認しながら適切な指揮を執らなくてはならない。営業企画部副調査役青木康忠氏は、「従来のシステムでは、商品・サービスごとの残高や販売状況を把握することはできたが、それらを横断した『顧客軸』の情報を全行で共有することはできませんでした。新たな戦略を進めていくためには、顧客単位での預かり資産・貸出金ボリュームや接触履歴などさまざまな情報を統合的に管理し、本部・営業店間で共有できるマネジメントツールを導入することが不可欠でした」と話す。
002
ソリューションの適用
200カ所以上の営業拠点と
本部全体で活用する
マネジメント・システムを、
約3カ月の短期間で構築
横浜銀行は2012年12月、新たな中期経営計画を実現するため、本部、および各営業店のマネジメント層が必要な情報を迅速に抽出・活用できるマネジメント・システムを構築するプロジェクトを立ち上げた。ツールの選定では、多種多様なデータを仮想的に統合できること、ストレスなく必要なデータにたどりつけるパフォーマンスを備えていること、多忙な営業店の現場でも直感的に操作できること、金融機関での導入実績があることなどを要件として定義。これらの項目を重点的に評価し、すべての要件を満たしたDYNATREKの導入を決めた。
青木氏は、「中期経営計画のスタートと同時にシステムを稼働させる必要があり、リテール営業の多種多様なデータを全行展開するという大規模なシステムであるにもかかわらず、約3カ月という短期間での開発を行う必要がありました。開発フェーズでは関連各部の要件やユーザーの要望をヒアリングし、帳票テンプレートを約70件(35種類)登録。ダイナトレック社のサポートを得ながらユーザーのニーズを即時にシステムに反映できたため、想定していたよりも大幅に早く開発を完了できました」と語る。
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2013年4月、本部、および各営業店が、新たに設定した顧客セグメントでの営業状況を共有するための仕組みとして、DYNATREKを稼働させた。稼働開始後、すぐに各営業店の支店長・役職者約200人を本部に集めて研修を実施し、実際の画面を見ながら操作性などを確認してもらうとともに、担当役員や部長自らが、各種営業関連会議などで利用の指導を行い、現場の意識改革とシステムへの慣れを促した。情報系システムは、構築することが目的ではなく、利用し価値を創造することがもっとも重要であるからだ。
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003
ソリューションから得た価値
本部と営業店の緊密な連携に
DYNATREKは不可欠
横浜銀行は2013年5月、すべての営業店にDYNATREKを開放した。現在、本部、および各営業店のマネジメント層はWebブラウザを経由してDYNATREKにアクセスすれば、顧客のメイン化(同行を主要取引先として選んだ顧客数)の状況や接触率・金融商品の販売状況など、営業戦略上で重要視される情報をいつでも確認できる。また、ダッシュボードでは「ブロック/エリア」と呼ばれる地域毎の情報がグラフで最初に表示され、掘り下げたい地域をクリックすれば、顧客明細までのデータを直感的に取得することができる。
この機能の提供により、本部のみならず、重点取組先に対する素早いフォロー実施や、他地域と比較した自店の取り組み状況を確認するなど、営業店のマネジメント層が「店舗の経営者」として必要とする情報を、即座に取得し改善活動へ繋げることが可能となった。
DYNATREKは稼働後も、ユーザーの手によって成長を続けている。DYNATREKは、本部ユーザーが自ら帳票を作成し、全営業店に公開することが可能だ。このため、運用開始直後から、営業店の要望は本部に集約され、「現場の視点」を取り込んだ新たな帳票テンプレートが、ユーザー自身によって日々生み出されている。また、2013年5月時点では、DYNATREKは「顧客のメイン化と投資型商品販売の分析」をターゲットとしたデータを公開しているが、DYNATREKを活用して共有するデータは拡大を続けている。2013年度下期は、「収益管理の高度化」をテーマとして、多種多様なシステムに分散した顧客別の資金収益・役務収益の情報を、DYNATREK上で一元的に共有する準備が現在進められている。
横浜銀行ではブロック・エリア営業体制を強化し、各地域の特性に応じた迅速な意思決定ときめ細やかな営業戦略の実現を推し進めている。今後は、ブロック内の人員配置や行員教育の適正化、顧客層が類似する地域間における営業ノウハウの共有など、エリアマーケティングの高度化を実現するツールとしてもDYNATREKを利用したい考えだ。
加藤氏は、「このシステムを活用することで、大局的な視点から役職者の管理スパンに応じて深堀りをし、各組織に求められる様々な粒度や視点のデータを、一つの基盤、同じ画面から分析・利用できるようになりました。本部やブロック・営業店のマネジメント層は素早く自らのラインの状況を確認することができ、また現場は、アプローチの状況から接点が必要なお客様を自ら把握することも可能です。これにより、営業戦略の立案から現場のアクションまで一貫した取り組みが実現できると考えています。今後はDYNATREKで取り扱うデータの範囲や種類をさらに増やし、経営・現場のマネジメントを総合的に支援するコックピットのようなシステムに育てていきたいと思います」と話している。
- 企業情報
- 横浜銀行は、神奈川県・東京西南部を営業地盤とする地方銀行。2013年3月末時点の預金残高が11兆4,801億円、貸出金残高が9兆3,794億円と、国内の地方銀行において第1位の規模を誇る。
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