Case Study

DYNATREKで自行センターと他行共同利用センターにて管理するデータを仮想的に統合
左より 北陸銀行 木下 秀行氏、山田 太一氏、寺田 光紀氏、北銀ソフトウエア 藤平 由美氏
事例概要
株式会社北陸銀行(以下、北陸銀行)は、他行との共同利用を行う統合DBとMCIFシステム、および富山の自行センターに置くサブシステムを仮想的に統合し、WAN越しに一括検索できる環境をDYNATREKで構築。DYNATREKの「ネットワーク・DB負荷を制御する仕組み」を最大限に活用し、遠隔地の共同センターをまたぐオンライン分析システムを実現した。ユーザー向け機能としては定型の帳票テンプレートや、営業店ユーザーにも扱いやすい自由検索機能を提供し、2016年6月に全営業店へ展開。今後は、本部が主導して日々の業務に必要な情報を自動配信する帳票ポータルを構築する計画だ。

001

システム導入の背景

システム共同化の流れと、
行内の情報管理基盤の分散化

北陸銀行は、北陸3県および北海道を主要地盤とし全国に約190の店舗を持つ、日本有数の規模を誇る地方銀行だ。加賀藩祖「前田利家」ゆかりの銀行として、明治10年に設立された金沢第十二国立銀行を起点としており、国内に例を見ない広域地銀として、地域とともに成長を続けている。

同行は、預金/為替/融資などの業務処理を担う勘定系システムを、他行との共同利用型システムへと移行し、2011年5月より運用を行っている。

勘定系システムや情報系システムの共同化により、北陸銀行はシステム開発・運用コストの削減を実現した。一方、ユーザーの視点からは、業務運営のための帳票作成や情報分析にあたり、自行内のデータと遠隔地の共同センターのデータを統合する必要があった。

北陸銀行のシステム開発・運用・保守を担う北銀ソフトウエア開発第一部グループ長藤平由美氏は、「共同化以前は、富山にある自行のセンターに自前の統合DWHと目的別データマートを用意し、要件に合わせて自由に仕様変更・拡張できる情報基盤を運用してきました。共同化した後は、共同センター側と自行センター側でデータソースが分散したため担当者が必要な情報をデータベース毎に異なる様々なBIツールを駆使して取得し、AccessやExcelでとりまとめる作業が発生しました」と語る。

このような背景の中で、「システム運用コストの削減」と「ユーザーのデータ集計・分析業務の効率化」を両立するソリューションが求められることとなった。同行総合事務部システム室長寺田光紀氏は、「共同化後に新たに必要となる帳票を作成する上で、分散したデータソースを効率的に統合し、必要な情報を迅速に抽出・加工できるツールを求めていました」と話す。

002

システム導入

全行横断的な情報基盤を
DYNATREKで構築

北陸銀行は、2013年5月よりツールの選定を開始した。重要な要件の1つになったのが、それまで行員が行っていた、共同センターと自行センターの両方に存在するデータを必要とする帳票の作成作業を代替できることだった。

同行総合企画部部長代理木下秀行氏は、「DYNATREKを導入することで、データ統合検索を行う上で新たに自行独自のDWHを構築する必要がなくなります。検討時点において複数のDYNATREK導入行を視察しましたが、DYNATREKを活用すれば、複数のデータソースをシームレスに統合し、横断的に扱える情報基盤を構築できると確信したのです」と語る。

そこで木下氏は各関係者との調整を始め、2015年5月、同行において、DYNATREKを導入する方針が決まった。今回のプロジェクトで大きなチャレンジになったのは、共同センターにある統合DBとMCIFシステム、自行のセンターにあるサブシステムをWAN越しに一括検索することだ。具体的には、共同センターのシステムと同行システムを直結、その中でクエリーを実行して検索結果をDYNATREKに取り込む仕組みを構築。頻繁に使用する帳票は、DYNATREK側で用意した「データ保管のための仕組み」へ夜間に取り込んでおき、それらを閲覧できる環境を整えることで、日中帯に共同センターのシステムに負荷をかけない仕組みを構築することとした。

003

プロジェクトの成果

共同センターのDBには
負荷をかけずに、
ユーザーの利便性を
確保する仕組みを確立

プロジェクトは滞りなく進行した。十分なパフォーマンスを担保しながら業務に必要な情報を抽出・加工できることなどを確認し、2016年4月、DYNATREKを軸とする情報基盤を本部で稼働。その後、定型の検索処理を迅速に実行するための約30のテンプレートを登録し、全営業店へ展開した。

本プロジェクトにおいて最も重要であった機能は、ユーザーの利便性を確保しながら、共同センターのデータベースへの負荷を最小限に抑えるための設計であった。この点において、DYNATREKが基本機能として提供している負荷分散機能が役立つこととなった。

DYNATREKは、ユーザーからアプリケーションへの同時接続数の制御や、接続先データベースへの同時接続数を制御する機能を標準で提供している。また、DYNATREKは「待機検索」という機能を持つ。これは、一般的な情報検索システムでは検索実行中は画面が占有され、ユーザーは他の業務を行うことができないが、DYNATREKではユーザーが翌日の検索実行予定を予め設定しておき、検索が完了した頃合いを見て検索完了後の結果のみを照会することができる。検索実行予定は「毎日」や「毎月」など自動実行化することも可能な一方で、即座にデータ照会ニーズが発生したときには、その場で検索要求を実行することも可能だ。この機能を活用することによって、データベースへの負荷をコントロールしながら、ユーザーの利便性を大きく向上させることが可能になった。

DYNATREKの仮想統合・負荷分散機能をフルに活用することにより、同行では共同センターと自行センターをまたいだ検索を迅速に行える環境が整った。DYNATREKは帳票やリストの出力基盤としても機能しており、本部行員が実施していた営業店に向けた帳票・リスト還元作業の自動化、ならびに渉外・融資などの総合職を中心とした営業店行員自身によるリスト作成の手間を大幅に削減できる。カットオーバー後には約60人の中堅主力層を対象にした研修を行い、その後、自主的に使ってもらうことで定着化を促す。

総合事務部システム室長寺田光紀氏は、「当行の営業店では、かつてはデータ検索ツールを使って各自で自由に検索しリスト作成を行っていたため、データへの親しみがあります。DYNATREKにより、データ活用への意識の高いユーザーが、検索条件を自由に指定・変更しながら情報を深掘りできるようになったメリットは大きいと考えています」と語る。

稼働初期は、本部スタッフを中心にDYNATREKを活用し、各営業店の要望に合わせた帳票テンプレートを充実させていく。また、融資業務支援、投資信託、保険、収益管理、営業支援などの各種システムも仮想的に統合し、DYNATREKで検索できる領域を広げていく。日々の業務に必要な情報を配信する“ユーザーに優しい帳票ポータル”の構築も視野に入っているという。

同行営業推進部副部長山田太一氏は、「本部が現場の役に立つ情報を継続的に提供してあげることで、行内でのDYNATREKの認知度を高めていくことがテーマです。当行では、現場の主体性を尊重する文化が根づいており、各営業店市場環境を勘案して、自店でボリューム目標・収益目標を設定しております。広域店舗網を持つ当行は、地域や営業店の規模によってニーズやトレンドは異なっております。従来は、画一的な資料を全店に配信しておりましたが、今後はDYNATREKを活用し各営業店が各店のニーズに適した情報を必要な時にタイムリーに取得できる体制を実現していきます」と話している。

企業情報
北陸銀行は、北陸3県(富山県・石川県・福井県)、および北海道を主要地盤とする地方銀行だ。平成16年には北海道銀行と経営統合し「ほくほくフィナンシャルグループ」を設立、現在はその一員として事業展開を行っている。預金残高6兆1,176億円、貸出金残高4兆3,834億円は、地方銀行の中ではトップクラスの規模を誇る(平成28年3月末)。

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