Case Study

「ユーザー主導」のプロジェクトで自行センターと他行共同利用センターのデータを仮想的に統合
足利銀行DYNATREK開発・運用チームメンバー、左より 大山 雅弘氏、加持 幸生氏、安納 祐介氏、大塚 健司氏
事例概要
株式会社足利銀行(以下、足利銀行)は、顧客のニーズに合った営業活動を効率的に推進するべく、全行のパフォーマンスを可視化、共有する情報基盤としてDYNATREKを導入。
営業店の行員から本部まで、必要に応じて行内に蓄積された膨大な情報を「わかりやすく、迅速に」共有する体制づくりを通して、各エリアや顧客案件に合わせた綿密な営業戦略を進めている。

001

システム導入の背景

営業店での
さらなるデータ分析のために

足利銀行は、1895年創業の歴史ある地方銀行だ。当時、織物産地として栄えた足利地域において、旺盛な資金需要に応えるため地元の織物関係者を中心に設立された。本拠地である栃木県を中心に、北関東と福島県を含む1都5県に154の営業店を展開し約2800人の行員を抱える。同行は、「地域とともに生きる」を経営姿勢に、法人や個人に密着した金融商品を提供。地域のものづくりや農業の支援イベントを多く開催するほか、インターネット支店「パスカル支店」の開設など新しい試みにも積極的だ。

同行は2011年7月より、基幹の勘定系システムを他行との共同システムへ移行し、システムの運営における大幅なコストの削減を実現した。各顧客の状況に合わせた営業戦略の策定や各営業店の成績評価に不可欠なデータ活用の面では、共同システムの統合データベースに接続するBIツールの活用の推進を、本部主導で行ってきた。本部にはデータ分析の専門知識を有する行員が多く在籍しており、営業店からの要望に応じて、店舗を取り巻く地域環境に関する情報や優先順位の高い訪問先リストの還元などの業務を行っている。

一方営業店においては、従来は自ら能動的に統合データベースを自在に分析できる仕組みは提供されていなかった。従来のツールはユーザー単位のライセンス体系となっており、またその利用には専門的な知識を要するため、本部が集中的にデータ分析業務を実施しなければならなかった。

そこで同行では、2014年頃から「既存で行内に蓄積したデータを活用可能で、全行員に使いやすく、保守管理の負担も軽く、リーズナブルな費用で導入できる」という基準でデータ検索ツールの検討を開始。パンフレットやセミナーを通して「DYNATREK」の存在を知り、2016年2月、導入に踏み切った。

また2016年10月には「めぶきフィナンシャルグループ」が発足し、常陽銀行との経営統合を進める同行において、すでに2012年より常陽銀行にてDYNATREKを活用している点も、積極的な導入の理由になった。

002

システム導入

ユーザー部門主導での
システム構築を実現

足利銀行は、共同システム運営側との折衝などの準備期間を経て、2016年10月に導入プロジェクトを開始。環境設定や統合データベースへの接続、レポートの試作などを経て、同行は2017年2月にDYNATREKの利用を本部で開始した。また、CRMとの連携や全ユーザーが使えるポータル検索画面の導入を完了し、2017年9月、全本部および全営業店へと本格展開した。

足利銀行営業企画部次長加持幸生氏は、「DYNATREKのメリットは、独自のデータベースを構成する必要がなく、既存システムのデータを仮想データベース化できること。仮想統合設定や最初の帳票作成などはダイナトレック社の構築支援サービスを活用しましたが、その後は同社のサポートやマニュアルをもとに、われわれ自身の手で本部試行や全営業店への展開を進めることができました」と語る。

同行営業企画部部長代理安納祐介氏は、自身もさまざまなシステムを構築した経験から「DYNATREKの場合、旧来のシステム言語に付いて回った“書いて、コンパイルして、実行”というサイクルが必要なく、短時間で項目を作成できました」と語る。ポータル画面の導入により、システム開放後の運用およびメンテナンスの負担も軽減した。

003

プロジェクトの成果

データを用いた
客観的な評価で、
営業活動の効率化を進める

DYNATREKの導入により足利銀行では、データの集計作業や運用作業が大幅に効率化した。同行営業企画部次長大山雅弘氏は、「仮想データベースの場合、リソース管理などの必要がなく、データを持たないメリットがあります」と話す。例えば、従来は預金や貸出金の時系列推移、前年同月比の残高増減などのデータを手動で加工していたが、現在そうしたデータは、あらかじめ集計された形で各営業店が抽出できるようになっている。

さらに、必要な範囲や時系列に応じた業務の可視化も進んだ。たとえば、各エリアブロックの平均と比較した各担当者の営業成績をはじめ、得意先別の行動分析、EBM(イベント・ベースド・マーケティング)、顧客セグメント別の融資案件状況など、全行を5つに分けたエリア地区から、エリアブロック、営業店、顧客まで一気通貫で把握できるようにした。同行は、必要な情報を可視化し共有することで、営業活動の改善をより効率的に進めている。

業務の効率化も実現した。エリア別の時系列分析など、従来は数時間かけていたデータ集計が数秒で済むようになり、エリアを担当する管理職からは、「従来は本部に依頼してきた計数情報を自ら取得できるようになり、機動的な運営が可能となった」といった声が出ている。個別の融資案件など、緊急の対応が必要な場合、エリア本部長や支店長から担当する行員に対して直接指示を出せるようになったことも大きな成果だ。

004

今後の展望

ユーザー主導で、
継続的な営業活動の
高度化・業務効率化を進める

安納氏は「情報は、持っているだけでは役に立ちません。いかに皆にわかりやすい形でアウトプットできるかが大切です」と話す。現場の営業ニーズに合わせた迅速かつ効果的なデータ活用をさらに加速させることが目標だ。そのために営業企画部では、現場の要望に応じた帳票の作成に積極的に取り組んでいる。大山氏は、「必要なデータをいつでも営業店に展開し、徹底的に活用できる体制を作っていきたいと考えています」と話している。

同行IT統括部業務推進グループ課長大塚健司氏は、次のように語る。「今回のプロジェクトで印象的だったのは、すべてユーザー主導でプロジェクトが進んだこと。私たちはインフラ整備に専念することができました」と明かす。「システムは使われることで成長します。DYNATREKは、欲しい情報を簡単に取れる仕組みですから、常に一歩先の活用方法を検討しながら、現場のユーザーにはより良いシステムへ育ててもらいたいです。」

働き方改革に取り組む足利銀行では、営業推進の高度化や営業店の業務効率化を進めている。DYNATREKの活用を通して、加持氏は、「データをただ見せるだけの基盤としてでなく、今後の銀行内でのデータ活用環境を整備するツールとして、DYNATREKを活用していきたいと考えています。ユーザー主導でデータ活用の仕組みづくりを行っていくことで、営業活動の高度化や業務効率化を継続的に進めていきたいです」と話している。

企業情報
足利銀行は、明治28年(1895年)10月1日、栃木県足利市において営業を開始した地方銀行。北関東と福島県を含む1都5県に154の営業店を展開し約2800人の行員を抱え、関東地方で有数の規模を誇る。2016年10月に「めぶきフィナンシャルグループ」を発足、現在では常陽銀行とのシナジーのもと、より付加価値の高い総合金融サービスの提供を図っている。

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