Case Study

本部の計数管理業務の自動化と営業店の「活動情報と着地見込み」を可視化するダッシュボードを構築
左より 石森 浩太郎氏、宇津野 哲哉氏、根本 哲也氏、信岡 茂樹氏、片岡 亮氏
事例概要
株式会社北洋銀行(以下、北洋銀行)は、DYNATREKを用いてデータウェアハウスとCRMシステムのデータを統合・可視化し、本部と全営業店が活用できるマネジメントシステムの運用を開始。
営業店向けには、本システムを用いて営業実績の着地予想を即座に算出する仕組みを提供。その他にも様々な営業支援機能を盛り込み、営業店経営における業務を省力化しながら、より的確なお客様へのアプローチに役立つシステムに育てていく。
本部に向けては、DWHとCRMシステムに蓄積された情報を自由検索できる仕組みを実現。地域別、業種・格付別など様々な切り口で自由に分析することが可能に。これまで多くの手集計を必要とした会議資料の作成などを自動化する取り組みを進めていく。

001

システム導入の背景

データウェアハウスと
CRMを統合的に可視化

北洋銀行は、北海道札幌市を本拠とする金融機関であり、2017年に創業100周年を迎えた。現在は2017年度から2019年度までの経営計画として「『共創』~地域、お客さまとともに新たな100年へ~」を策定しており、マーケティングの高度化によりお客さまの潜在ニーズを発掘するとともに、最適なサービスを提供するためコンサルティング能力の一層の向上を図っている。

その北洋銀行は2015年4月、DWHを導入した。ホストシステムと、その周辺処理を担うサブシステム群が蓄積したデータから、分析対象にするものをすべて新たなDWHに蓄積することにしたのだ。

同時に、CRMシステムも刷新。営業店が登録する顧客接点情報やEBM(Event Based Marketing)関連の情報は、CRMシステムが保持することになった。

これら2つの情報基盤は、それぞれに本部業務の効率化に役立った。たとえば、計数取得のために個別のサブシステムからデータを集めてくる必要はなくなる。EBMで抽出したリストの配信もシステム側で完結するようになった。

一方で、これら2つの情報基盤を統合的に分析するツールが必要であるというニーズも生まれた。既存のツールの適用範囲を拡大するという選択肢はあったものの、一般的にデータ分析ツールは本部のデータ分析担当者が操作することを想定しているため、将来支店に展開する際に運用コストが課題となり、また操作も営業店の行員が行うには複雑であった。

そこで北洋銀行は、行内の複数のシステムを統合し、全営業店に展開する事例を豊富に有するDYNATREKを採用することとした。

002

システム導入

早期に画面を確認し、
キャッチボールをしながら
育てるアプローチ

DYNATREKの導入目的はシンプルだった。目標は、本部の計数管理プロセスを最適化し、さらに営業店において、自らの手で必要な情報を取得・分析できるようにすることだ。

北洋銀行営業戦略部主任調査役石森浩太郎氏は、「それまではDBからデータを取得してきてから、Excelのマクロやピボットテーブル、vlookup関数などを駆使して報告書類を作っていました。部署や担当業務、計数の目的によって様々な基準でデータを集計する必要があり、部門を横断した計数の分析を行うことは技術的に困難でした」と話す。

作る計数によっては、サブシステムから取得したデータを二次加工している場合などがある。また、業種や事業規模など、各部署や業務によって詳細な組み上げ方が異なってくる。そのため、経営会議にかける前段階にズレを調整する必要があり、それに多くの労力を費やすことになっていた。DYNATREKを通して、必要な数値が既に統合された状態で取得することで、こうした差異は発生しにくくなる。

CRMシステム側でも、一歩進んだ分析を可能にする。たとえば、CRMでは「顧客別」の情報照会は得意とするが、「担当者」や「地域」といった概念で活動を分析するためには、新規開発を必要とする場合が多い。DYNATREKを用いることで、CRMシステムに手をいれることなく、営業戦略に沿った粒度での活動情報の集約・分析が可能となる。

北洋銀行でのDYNATREKの導入は、ダイナトレックとともに、北洋銀行のグループ会社である北洋システム開発株式会社が行った。北洋システム開発株式会社開発部課長代理信岡茂樹氏は「DYNATREKの魅力は、要件変更があっても容易に修正できること。これからの運用フェーズでも、修正対応しながら開発を行えるという特性によって高い効率性が期待できます」と話す。同開発部主査片岡亮氏は、「DYNATREKの開発は初めてでしたが、経験のあるほかのツールと比べると、開発はしやすいです。結果を実際に見て、イメージしながら開発を進めることができますから」と話す。

003

プロジェクトの成果

「面白いツールだね」。
現場からは好評

稼働時に使える状態になったダッシュボードや帳票類のうち、現在最も利用されているものは「貸出平残管理表」だ。この帳票は、営業店が入力する案件情報や、月末にむけた約定弁済の予定を加味し、月末や期末の貸出金着地予想を自動計算する機能を提供している。支店経営のために必須の仕組みで、この情報を日々得られるようになったことで、営業店のマネジメント層は目標への進捗管理をより容易に行うことができる。

また、本帳票で出力する計数は、従来は多くの手作業を介して出力されてきた、業績評価対象ベースでの貸出平残を出力する仕組みとしており、本帳票により本部でのデータ作成工数も削減することができたという。貸出平残管理表と並び多く活用されているのが、「EBM対応状況」に関するダッシュボードだ。

EBMは就職や住宅の購入、学校への入学、退職といった顧客の「ライフイベント」に合わせて、適切なサービスや金融商品を提供するための仕組みだ。様々なライフイベントを迎えた顧客のリストがEBMシステムを通じて営業店に配信され、営業に活用されている。

DYNATREKを用いることで、EBMシステムの配信したイベント毎のアプローチ率の集計のみならず、担当者毎や店毎など、様々な角度からEBMの対応状況をモニタリングすることが可能となった。

004

今後の展望

帳票開発を加速し、
現場のニーズにこたえたい

北洋銀行は、データ資産を最大限に活用するツールとしてDYNATREKを位置づけている。北洋銀行システム部調査役根本哲也氏は、「DYNATREKは多くのBIツールの中でも、本部と営業店で『活用できる』と実感できる機能がそろっていると感じます。当行はDWHの稼働で、データの蓄積に多くの労力をかけてきています。DYNATREKがあれば、データ活用への展望がさらに広がります」と話す。

北洋銀行におけるDYNATREKの稼動は2017年7月。全支店で利用可能になったのは10月で、目に見える成果が出てくるのはこれからが本番だ。使われれば使われるほど、さまざまなニーズが生まれ、開発する帳票も増えてくるだろう。

石森氏は、「DYNATREKでは帳票を作るだけでなく、表示されるグラフをドリルダウンして詳細な情報へとたどることができます。最近では、支店側から『結果とそれに至るプロセスが分かりやすく分析できて、面白いツールだね』と言われるようになりました。営業店において自ら戦略を考え、マネジメントできるツールとして今後も活用していこうと思います」と話している。

企業情報
北洋銀行は、北海道に密着し総合的な金融サービスを提供している地域金融機関。資金量残高8兆2,582億円、貸出金残高6兆2,305億円は、共に日本全国の地域銀行において第7位に位置している。同行の掲げる「お客様第一主義」「地域貢献」の姿勢は、メインバンクの取引社数が全国の地域銀行の中で第1位という結果にも表れている。(2017年9月末時点)2017年度より中期経営計画「『共創』~地域、お客さまとともに新たな100年へ~」を策定。2017年8月20日に創立100周年を迎えた同行において、外部環境の変化に対応しながら持続可能なビジネスモデルを築き、次の百年に向かって新たな価値を創造する姿勢を明確にしている。

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