Case Study

全営業店で利用される「営業マネジメントシステム」を構築。業績表彰管理、担当者実績管理、法人・個人営業推進などで活用。
前列中央:山中 満夫氏、後列:右より蒲原 直樹氏、檀 明宏氏、井上 修氏、藤崎 響氏
事例概要
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)では、さらなる営業活動の効率化・ 高度化に向けてDYNATREKの導入を決定。構築開始から本格稼働までわずか3ヵ月というス ピードで導入プロジェクトを行い、福岡銀行・熊本銀行・十八親和銀行の全営業店で活用 する「営業マネジメントシステム」の活用を2019年度下期に開始した。導入後は、収益管 理システムや統合データベース(預貸金や預り資産、活動履歴等の各種情報を格納)、手管 理のExcelファイルなどのデータをDYNATREK上で一気通貫してつなげ、業績表彰管理、担 当者実績管理、法人・個人営業推進で活用。「今、注力すべき分野」をスピーディに把握し、 アプローチに必要なリストや交渉履歴・案件情報などを即座に分析できる仕組みなどを提 供している。
サービス開始後も継続的にコンテンツを増やし続けており、環境変化に応じて本部がスピー ディに営業店に分析の「切り口」を提供する手段として、今後更に活用を推進していく。

001

システム導入の背景

構造改革による
収益の引き上げを目指す

福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行を中心に、証券会社やカード会社、コンサルティング会社などを傘下に持ち、九州全域にネットワークを構築するFFG。同グループでは、2016年4月からの10年間を「進化のステージ」と位置づけ、長期ビジョンとして「持続的に高い競争力・成長力を実現する『ザ・ベスト リージョナルバンク』」を掲げて事業活動を展開している。

「少子高齢化や人口減少、低金利環境の長期化、ICTの急速な発展に伴う異業種の銀行業への参入など、地域金融機関を取り巻く経営環境は日々めまぐるしく変化しています。こうした中、私たちFFGが成長戦略を描く上で、当面の大きな柱としているのが『構造改革による収益の引き上げ』です。つまり、日々の業務の必要性や手順の抜本的な見直しによって無駄な作業を削減し、業務効率化、生産性向上を図り、そこで捻出した人材や時間をサービスの高度化に活用することで持続的な成長を実現していくということです」と同グループ執行役員 営業統括部長である山中満夫氏は語る。

同グループではこれまでもRPAなど新しい技術を活用し業務手順の見直しに取り組んできたが、それをさらに進めて営業管理業務においても最先端のデジタル技術を導入し、業務の自動化・効率化を図る。そして、営業管理業務にかける時間を削減し、お客さまと向き合う時間を増やすとともに、活動の質を高めることで、お客さま満足の向上を図り、収益機会の拡充を目指す――これが営業部門における構造改革の全体像である。

具体的に言えば、営業店における営業管理業務の一例として、支店長は自店の中長期的なトレンド、近隣他行店舗との比較、業績表彰など店舗全体の管理を行う必要がある。また、管理職の業務としては部下の営業活動の管理、案件管理などの担当者管理があり、営業担当者はお客さまとの交渉履歴管理や残高管理など顧客管理を行う必要がある。しかも、多くの管理業務には独立した専門のシステムや手管理のExcelファイルなどを使用している。

特に、①業績表彰の評点実績・見込管理、②営業推進項目の担当者別実績管理、③営業会議資料の作成の3つについては、半期あるいは年度で方針が見直されるケースが多く、従来のやり方ではシステム開発が間に合わず対応が困難であり、Excelを用いた手管理が中心となっていた。「これらの営業管理業務の簡略化を図ることで、より多くのお客さまとのコミュニケーションに時間をあてることが可能となります。そこで、私たちはこれらの業務の負担を減らすためにデジタル技術の導入を検討したわけです」と山中氏は言う。

営業部門の構造改革を短期間で遂行するにあたり、FFGが選んだのがDYNATREKである。「今回、私たちが求めたのは、従来のように提供するコンテンツを定め時間をかけてつくりこんでいくことではありません。スピード感と適応力を兼ね備え、営業店のニーズを柔軟に汲み取って、そのニーズにリアルタイムで対応し続けられるITシステムであり、それがDYNATREKだったのです」と山中氏は語る。

また、FFGはDYNATREK導入行の視察も実施。その際、「これまでデータが分散し把握しきれなかった情報がDYNATREKで『見える化』されたことで、営業活動のやり方がガラリと変わった」など導入行が大きなメリットを感じていることも選定の決め手となったという。

002

システム導入

スタートから本格稼働まで
3ヵ月でプロジェクトを完遂

2019年1月、FFGはDYNATREKの導入によってどのようなコストメリットがあるかを検証するため、約3ヵ月間の試行プロジェクトをスタートした。「試行プロジェクトでは、従来は分散していたデータをDYNATREKで有機的に組み合わせることで、すぐに活動につなげられるという手ごたえを得ることができました。こうしたことからDYNATREKの本格的な導入を決定したのです。また、同年7月にはDYNATREKのユーザー会議にも参加し、DYNATREKの既存の導入行とも交流を図り、今回のプロジェクトの進め方の参考とさせていただきました」と営業統括部 営業統括グループ 主任調査役の壇明宏氏は振り返る。

プロジェクトが本格的なスタートを切ったのは2019年7月。それからわずか1ヵ月後の8月には提供コンテンツ一式をプロトタイプで構築し、5ヵ店の支店長・副支店長への試行展開を開始した。「営業店のニーズは地域の環境や市況によって随時変化していきます。そのため、いわゆるアジャイル開発の手法をとり、設計をつくり込むのではなく、高速で叩き台を作成し、ユーザーである営業店の声を取り入れながら精度を上げていくことに注力しました。このような開発手法をとれるのもDYNATREKの大きな利点だと思います」と壇氏は語る。

営業店試行では、「処理スピードも速く、使い勝手がよい」「各種分析・把握には視覚的にも分かりやすい」などの声が寄せられたという。一方で、大型店では業務純益の着地予想を出すために、さらに詳細な役務収益情報を提供してほしいなどのニーズがあり、中規模店からは法人顧客の開拓のみならず、企業内個人の開拓のための資料を提供してほしいという声が上がるなど、営業店ごとにニーズが異なることが試行によって明らかになった。

これらの試行で寄せられたニーズを、カットオーバーまでの1か月で追加機能として実装することで、営業店にも「ニーズを上げれば、それが機能として、スピーディに提供される」ことが理解される。このようなプロセスを経ることで、「本部と営業店がともにつくりあげる」システムを実現したのである。

2019年8月に試行展開し、営業店から上がってきたさまざまなニーズに1ヵ月で対応し9月には追加機能を実装。そして、10月7日には全営業店向けの本格稼働を開始した。プロジェクトのスタートから本格稼働までわずか3ヵ月というスピードである。「プロジェクトが始まる前は、『営業店がデータを入力しきらないとよいコンテンツが提供できないのではないか』という懸念もありました。しかし、DYNATREKでスピーディにコンテンツを提供していくことで、データを入力することの意義が営業店にも理解いただくことができたのだと思います。入力したデータが自分たちの営業活動に役立つという認識が浸透するからこそ、データが網羅的になり、提供コンテンツの品質が上がる。そのような良いサイクルが、DYNATREKによって生まれたと感じています。DYNATREKの品質はもちろん、ダイナトレック社の担当者の方たちのスキルの高さ、スピード感、対応力を実感しました」と営業統括部 営業統括グループ 部長代理の井上修氏は振り返る。

003

プロジェクトの成果

DYNATREK導入により
PDCAサイクルが一気通貫に

DYNATREKを活用したFFGの営業マネジメントシステムのポータル画面は以下の4つに分かれている。

1.営業管理:業績表彰や計数管理、案件進捗の分析など、営業店マネジメントに必要な情報を集約
2.営業推進:営業活動に活用できるリストを提供
3.店舗分析:店舗の長期計数やマーケット状況などのコンテンツを提供
4.担当者分析:担当者ごとの活動を振り返り、さらなる活動の質向上を検討するためのコンテンツを提供

例えば、業績表彰の資料については、これまでExcelで配信されており、営業店が独自に加工して会議資料に活用していた。DYNATREK導入後は、業績表彰の資料がグラフで自動的に閲覧でき、支店ごとの一般貸出金平残の達成率や点数などもドリルダウンしながら確認できるようになった。営業店からは「とても便利になった」と高評価を得ており、最も活用されているコンテンツとなっている。

また、貸出金残高の資料についても、全行の貸出金残高の推移はもちろん、ブロック別や支店別の推移、さらに貸出金残高の明細まで細かく閲覧可能になった。今期と前期を比較し、顧客ごとの伸長・減少を把握するだけでなく、減少している顧客に対する営業活動や交渉履歴も確認できるようになった。

さらに、分散している情報を集約して見せる機能を活用して開発されたのが「営業店カルテ」と「担当者別カルテ」である。営業店カルテでは、基盤情報や貸出金・預かり資産残高の推移を含む営業店のトレンドを把握でき、支店長が赴任した際の自店の俯瞰的理解に役立つ。一方、担当者別カルテでは、個人担当者の活動状況や成果を全行平均と比較でき、レーダーチャートによる可視化で自己評価が可能となった。このレーダーチャートは管理職にも好評で、指導やアドバイスが容易になるという声が寄せられた。

壇氏はDYNATREKの導入により、営業活動のPDCAサイクルを一気通貫して回す仕組みが構築されたと指摘する。

Plan:業績表彰管理画面で活動の指針を定める
Do:推進項目ごとのリストを活用して営業活動を実施
Check:案件管理をリアルタイムに把握し、活動をモニタリング
Action:活動指導を行い、さらなる案件成約を目指す

従来は個別のシステムを使って対応していたPDCAサイクルを、DYNATREKでは一気通貫で回すことが可能になり、大きな効率化が実現している。

004

今後の展望

DYNATREKをフル活用し、
持続的な成長を続ける

DYNATREKの運用開始から約1年、FFGではさまざまなコンテンツを追加してきた。これらのコンテンツは営業統括部と社内エンジニアが主体となり、短期間で構築されたという。

新規コンテンツの一例として、2020年2月に開始した「投信のパレット」の営業推進コンテンツがある。「投信のパレット」は、営業担当者がFFG独自の投資信託評価・分析・提案システム「F-navi+」を活用し、お客さま一人ひとりに最適な運用プランを提案するサービスで、長期的な資産成長をサポートするものだ。「このサービス展開においては、お客さまとのコンタクトや販売状況、残高推移など、管理業務全般でDYNATREKを活用しています。通常、こうしたシステムの構築には数ヵ月かかると予想されますが、DYNATREKでは内製化により2週間で構築することができました」と壇氏は述べている。

今後のDYNATREK活用について、山中氏は次のように語る。
「金融機関を取り巻く環境は日々刻々と変化しています。このような環境下では、行内外のアイデアを参考に営業戦略を立て、短期間で分かりやすく営業店とコミュニケーションを取ることが重要です。営業店に迅速かつ明確に営業戦略を展開できるITシステム、これが当行におけるDYNATREKの位置付けです。これからもDYNATREKを活用することで、営業戦略を迅速に展開し、お客さま満足度を高めることで持続的な成長を続けていきたいと考えています」。

企業情報
九州全域にネットワークを構築する広域展開型の総合金融グループである「ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)」。地域金融機関としては日本最大規模を誇り、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行を中心に、証券会社、カード会社、コンサルティング会社などをグループ傘下に持つ。「あなたのいちばんに。」をスローガンに、全てのステークホルダーから、ともに価値を創造していくパートナーと認められることを目指して事業活動を展開する。

さらに詳しい
製品のご説明資料を
ダウンロードいただけます

DATA INTEGRATION ANALYSIS TOOLS

プロダクトの概要や
導入事例が知りたい

オンラインで
デモを見たい

より詳しく
話を聞きたい