Case Study

DYNATREKを「営業店のマネジメント」「帳票作成の内製化」「中期経営計画の策定」に活用
百五銀行 経営企画部 経営企画課 課長代理 梅村 昭仁 様
事例概要
株式会社百五銀行(以下、百五銀行)では、CRMおよびMCIFの更改をきっかけに、帳票の内製化ツールとして2019年4月からDYNATREKの導入に着手。同年10月に、全営業店の計数還元・マネジメントシステムとして展開を開始した。2020年4月にはDYNATREKとホストDBとの接続を開始し、DYNATREKをシステムインフラとしても拡張させている。さらに、2022年度からスタートする中期経営計画の策定業務においてもDYNATREKを活用して、計数基盤の一元化と、従来以上に精緻な残高・収益シミュレーションの実施を実現した。

001

システム導入に至る背景

CRM・MCIFの更改をきっかけに、
帳票の内製化ツールを検討

三重県津市に本店を置く百五銀行は、総預金が約5兆4,000億円、総貸出金が約4兆円の規模を誇る地方銀行であり、国内に143店舗を展開している(2021年3月末時点)。同行でのDYNATREKを用いた仕組みは、国内すべての営業店で活用されるシステムとなっている。

DYNATREK導入のきっかけは、2019年4月に実施したCRM・MCIFの更改だった。これを契機に、帳票の内製化ツールを整備する機運が高まっていた。従来、営業店が計数確認や進捗管理を行うための帳票類は、CRMのカスタマイズによって開発されてきた。一方で、これらの帳票類を都度スクラッチ開発することには、銀行側・ベンダー側双方にとって負担が大きく、営業店ニーズに応じた柔軟な対応が難しいという課題があった。

そこで、DYNATREKを使って帳票作成を内製化すれば、低コストでの開発が可能になるだけでなく、運用開始後の改修も容易に行えると考えられた。百五銀行 経営企画部 課長代理 梅村昭仁氏は、「従来の帳票開発の仕組みでは、帳票作成のたびに仕様書を作成し、外部ベンダーへ開発を依頼する必要がありました。DYNATREKの導入以降、帳票開発はDYNATREKの画面から行内の開発要員が行えるようになり、コストと帳票開発にかかる時間を飛躍的に圧縮することができるようになりました」と語る。

002

DYNATREKが選ばれた理由

地方銀行の導入実績と、
多彩な業務ニーズに
対応できるシステムを評価

百五銀行がDYNATREKを採用した理由は3つある。1つ目は「2019年の時点で約20行の地方銀行で導入実績があったこと」、2つ目は「導入支援サポートへの安心感が高いこと」、3つ目は「行内での内製化が可能であること」である。さらに、梅村氏は「すでにDYNATREKを活用している金融機関との会議に参加したとき、現場でDYNATREKを活用している担当者の方々から『DYNATREKを信じて導入したら、後悔はしない』という意見をいただきました。このような生の言葉を聞けたことも後押しになりました」と語る。

また、DYNATREKの技術的な側面が百五銀行のニーズにマッチしていたことも、採用に至ったポイントだ。1つが「CRMからDYNATREKの画面を呼び出すなどの連携が基本機能で提供されており、かつ容易に実現できること」。もう1つが「CRMやMCIFのデータベースだけでなく、所管部に分散した様々なファイルをDYNATREKデータベースに格納したり、各種サブシステムのデータを集約したりできること」。

梅村氏は「このシステムであれば、単に営業支援ツールとしての活用だけではなく、行内の多彩な業務ニーズに対応可能な『行内情報の内製化基盤』に育てていくことができる」と考えたという。

003

システム導入の効果①

営業店のマネジメント業務
効率化を実現

百五銀行では、2019年4月にDYNATREKの本格開発に着手して以降、特に滞ることなく8月末には総合テストを完了し、2019年10月より本番展開を開始。全営業店に展開するシステムのため、行内のポータルシステムとの連携なども必要だったが、ダイナトレック社が地方銀行での導入経験が豊富であったこともあり、円滑なコミュニケーションでプロジェクトが進んだ。結果として、プロジェクト着手から半年で、全営業店向けの計数還元・マネジメントシステムとしてリリースすることができた。

DYNATREKの導入直後、百五銀行では、まず営業店からのアクセス数を増やして、行内の情報システムとしての認知度を得ることからスタートした。戦略としては、営業店業務の中でも特に手作業の負担が大きい帳票類から自動化し、日々営業店に活用してもらえるコンテンツをそろえていくことが目的だったという。

当時の百五銀行では「業績表彰の進捗管理」や「貸出金平残予測」などは手作業の負担が大きい帳票の代表であり、営業店の役席が営業店ごとの独自のエクセルフォーマットを駆使するなど、日々時間を使っていた。そこで、DYNATREKを使い、たとえば「貸出金平残予測のなりゆき情報」はすべて自動で出力し、営業店は見込み案件の入力のみに注力できる運用を実現。カットオーバー初年度から当初稟議にて目標とした業務時間量の削減を達成することができた。

004

システム導入の効果②

DYNATREKと
ホストDBとの接続で
行内帳票作成の標準ツールへ

2020年4月より、百五銀行のDYNATREKは、ホストDBとの接続を開始した。きっかけは、システム統括部から出た「営業店における一部事務システムが更改時期となり、その代替手段を検討する上で、当該事務システムをDYNATREKに置き換えれば10年で億単位のコスト削減につながる」というアイデアだった。

一方で、営業店における事務システムの更改となると、百五銀行の事務規定とも照らし合わせる必要があった。そこで、システム統括部を中心に「DYNATREKで事務システムを代替しても問題がないか」という検討を綿密に行った。この検討にはダイナトレック社も参加。プロトタイプを作成して事務統括部門などのレビューも行い、結果として、移行対象となった事務システムで提供されていた帳票機能をDYNATREKの基本機能で代替できることが判明し、セキュリティ上も問題ないことが確認できた。

この時点から、DYNATREKはホストDBとの直接接続を開始し、当該事務システムの代替も半年のプロジェクトで移行が完了した。現在も問題なく運用が続いている。そして、この基幹系ホストとの接続により、百五銀行でのDYNATREKの利用シーンは新たなフェーズを迎えることとなった。

まず、DYNATREKは百五銀行において、事務帳票の内製化を行うための標準ツールとして位置付けられた。すでに、システム統括部の20名以上の開発担当者がダイナトレック社の研修を受講している。また、システム子会社である百五コンピューターソフトもDYNATREKの開発・運用へ参画し、行内リソースをフル活用した内製体制を確立した。この体制を構築してからは、従来のプログラミングによる帳票作成と比べて、非常に高い生産性を示すことができている。

005

システム導入の効果③

中期経営計画の作成に必要な
着地予測作成の「一元化」を実現

百五銀行は、2022年4月より新たな中期経営計画をスタートする。経営企画部が担当する業務の中で「中期経営計画の策定」は最も難しい作業の一つだが、ここでもDYNATREKが力を発揮している。

中期経営計画を作成するためには、3年先までの貸出金平残予測をはじめ、さまざまな計数の予測数値の計算が必要だ。従来は、個人や法人など部門ごとに予測数値を算出し、経営企画部で集約する形をとっていた。その一方、部門ごとに利用するベースの計数が異なっていたり、担当者が変わったりすることがあったため、各部門の予測ロジックの整合性を図ることに労力が必要となっていた。

経営企画部がDYNATREKの活用を開始すると、各部門に統一のベース計数を提供することにより、調整業務が飛躍的に削減された。具体的には、DYNATREKを用いて全貸出金の現時点の残高と約定弁済データを様々なセグメントで集計可能とし、部門ごとや商品ごとなどでの「なりゆき」ベースでの数値をほぼ自動で出力できるようになった点が挙げられる。

「従来より、中期経営計画の策定にあたっては、各部門ごとに使用するシステムも異なることからベースとなる計数の定義を部門横断で統一することは困難でした。一方で、DYNATREKを活用すれば当行のすべての約定明細をベースとした精緻な着地予想シミュレーションができるとかねてより考えてきました。」と梅村氏は語る。

導入当初より、DYNATREKの営業店向けコンテンツの一つとして、半期ごとの着地予想データが提供されてきた。梅村氏は「半年や1年という単位の業務計画を作れたのだから、期間を3年、5年に伸ばせば、中期経営計画の策定にもDYNATREKを応用できるのではないか」と考えたという。

この結果、予測数値の出し方として、まず経営企画部から各部門に3年間のなりゆきベースでの数値を提示し、各部門とは新規獲得の見込みについて集中的に討議するというスキームを作ることができた。各部門側でも、煩雑だった着地予測業務の手間が削減されたことにより高い評価を得ている。

また、DYNATREKはすべて明細ベースのラダーから見込みを算出できるため、現在の地方銀行共通の懸案事項であるコロナ融資の返済予測などのような流動性の高いテーマにも、さまざまなシナリオを設定して予測することが可能である。

百五銀行では、来期からの中期経営計画の策定業務においても、DYNATREKの活用により着地予想業務の効率化や精緻化を図る考えだ。経営から現場までの幅広い分野でDYNATREKの活用が進むことになる。

006

今後の展望

人事分野・継続的顧客管理等への
活用展開を検討中

百五銀行はこれから、DYNATREKを活用する分野をさらに広めていく予定だ。梅村氏は「営業店向けの取り組みとして、業績表彰を管理している営業部署と連携を密にし、営業店の業務をどのように効率化できるのかを継続的に考えていきたいです」と語る。

また、百五銀行では現在、他の複数の事務システムにおいてもDYNATREKへの統合を検討中である。実現すれば、さらに大きなコスト削減効果が得られる見込みだ。例えば、本部業務の1つである人事データの管理をより高度化させることなどを考えている。

さらに、継続的顧客管理などのリスク管理分野での活用も企画中だ。梅村氏は「現在、継続的顧客管理は金融業界全体としても流動性の高いテーマであり、『このシステムを導入すれば制度対応できる』という種類の課題ではないと考えます。DYNATREKは行内の内製化ツールとして定着しており、頻繁な制度変更にも柔軟に対応でき、金銭的なコストも低く抑えられる仕組みが構築できると考えています。」と語る。

百五銀行の取り組みは、地方銀行がDYNATREKを活用してシステム内製化を行うことで、「当初の想像以上」の生産性向上が実現された事例だ。同行ではこれからも、内製化体制の拡充とともに、さらなるDYNATREK活用が進んでいくだろう。

企業情報
三重県津市に本店を構える地方銀行。国内に143店舗を展開し、2,380人の従業員を擁している(2021年3月末時点)。総預金は約5兆4,000億円、総貸出金は約4兆円に上る。
明治11年の創立以来、「堅実経営」をはじめとした伝統を大切にしながら、地域とともに着実に成長・進化することを目指している。近年では、これまで培ってきた基盤を活かしつつ、積極的に新しい挑戦に取り組んでいる。

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