Case Study
DYNATREKを用いて業績表彰の一元化や営業実績の「リアルタイム管理」を実現。データ利活用、DXの軸となるシステムへ
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- 事例概要
- 株式会社三十三銀行(以下、三十三銀行)は、2021年5月に三重銀行と第三銀行が合併し発足した。
合併に伴う社内システム統合が完了し、業績管理の手法の融合も図る中で、事務作業の更なる効率化や行内コミュニケーションの促進が急務となった。
そこで、あらたな業務効率化・データ活用の基盤としてDYNATREK を導入。従来多くの手間がかかっていた業績表彰管理、貸出金の予実管理、ソリューション営業等の報告作業を効率化し、年間で数千万円の経費削減に成功している。
001
システム導入に至る背景
システム統合が完了し、
営業店のマネジメント手法の
融合に着手
三重県四日市市に本部を置く三十三銀行は、預金額が3兆8,425億円、貸出金額が2兆8,684億円の規模を誇る地方銀行で、国内に171店舗、127拠点を構えている(2023年3月31日時点)。
同行でのDYNATREK導入のきっかけは、三重銀行と第三銀行の合併に伴う社内の各システムの統合が完了したものの、営業店では多種多様なシステムのインターフェースが変更されたことにより、「どこに・どの情報があるのかがわかりづらい」状況となったことにある。
三十三銀行 営業本部 営業企画部 営業企画課 企画役 脇内一仁氏は次のように語る。
「例えば、新しい環境に慣れていないユーザーは、前日の預金や貸出金の実績を確認する場合なども、社内システムの必要な情報にアクセスするのに時間がかかりました。そのため営業店の事務作業に要する時間も増加傾向にありました」。
また、貸出金や預かり資産、ソリューションなどの各種営業実績の集計方法や評価方針についても旧二行では異なる方法をとっていたため、営業のマネジメント手法を融合する必要があった。
例えば貸出金の実績管理については、2022年度から「貸出金構築表」という新たなフォーマットを制定し、営業店における精緻な着地予想管理を行うこととなった。このフォーマットでは、貸出金の実績や返済予定、そして営業店が持つ案件内容をそれぞれ営業店行員がシステムから取得し、定められたExcelへの転記が必要とされた。また、本部から各営業店へ「何月何日までに、貸出金構築表を本部へ送付してください」と通達し、集まった100ファイル以上のExcelを本部が自らブロック別、全店計に集約する必要があり、本部側の事務負担も大きかった。
旧二行のマネジメント手法を融合した新たなデータ集計の流れを制定したものの、その実践には営業店において多大な事務作業が発生し、「営業や企画などの本来実施すべき業務」に支障がでてしまうことが、最も大きな課題であった。
そこで社内システムを統合してデータを一元管理し、本部と各営業店とが電話やメールで連絡を取り合わなくても情報を共有できる新たなシステムを構築すべく、DYNATREKの導入の検討が始まった。
002
DYNATREKが選ばれた理由
操作性の高さに加え、
年間数千万円の経費削減が
可能な費用対効果
三十三銀行では、事務作業負担の軽減、そしてタイムリーなデータ活用を推進するために、2021年末よりDYNATREKを用いた試行プロジェクトを実施した。この試行では、三十三銀行のシステム部門・リスク管理部門の承認を受け、情報系データベース(営業カルテ)や収益管理システムとDYNATREKを接続し、本番と同等のシステム構成を作成。さらに、営業店が入力するExcelデータにはSQL Serverを新たに導入し、Excelデータにデータ登録用のマクロを組み込むことで、貸出金構築表のフォーマットをそのままに「データの転記やデータの取りまとめ作業をなくす」ことが実際に可能であるかを検証した。
脇内氏は次のように振り返る。
「試行プロジェクトを通して、我々が特に印象的だったのは、データ表示のインパクトと操作性の高さでした。経営陣にもデモをしましたが、様々なデータを全行、ブロック別、担当別など手軽に掘り下げる(ドリルダウン)機能が高く評価されました」。
また、画面の見た目も重要事項だが、最も大切なのは三十三銀行における営業データ管理の流れを整理し、営業店の事務負担を軽減することである。この点においても、試行フェーズでは貸出金構築表の運用効率化の実証試験を実施。
営業店向けにはExcelファイルへの入力支援機能を実装し、営業店がExcelに入力した値をリアルタイムにDYNATREKのサーバーに転送。本部ではその時点のブロック計や全店計をグラフ表示できる仕組みを数日で構築することができた。
従来、貸出金構築表の作成などには多くの工数を要していたが、DYNATREKを活用することでワンクリックで表を作成できるようになり、工数と人件費の削減が可能となった。これにより、全般的なコスト削減効果等が評価され、DYNATREKの正式導入が決定した。
脇内氏は次のように語る。
「DYNATREKの導入費用について、元々試算していたコスト削減効果(業務削減時間×人件費)により、2年間で回収できる計画を立てました。現在導入から1年がたちましたが、ほぼ計画通りに進捗しており、年間で数千万円レベルのコスト削減が実現されています」。
DYNATREKのシステム導入作業は2022年7月末に着手され、3カ月後の10月末より、本部および全営業店向けの稼働を開始した。
003
ダイナトレックによる効果①
貸出金構築表作成と
業績表彰フローの改善
三十三銀行では、DYNATREKの導入によりデータの一元管理と営業店の業務効率化を実現。この取り組みによる効果として、主に以下の2つの業務改善に成功している。
まずは、貸出金構築表の作成をはじめとする、営業店からのソリューション営業・預り資産業務の報告作業の効率化だ。DYNATREK導入以前は、貸出金構築表を作成する際、各営業店が計数を取得し、担当者がExcelに手作業で入力する必要があったため、表の作成に膨大な時間がかかっていた。DYNATREKを活用することで、画面上でワンクリックするだけで表を作成できるようになり、大幅な業務効率化を実現した。
次に挙げられるのは、業績表彰の可視化・効率化である。今回のプロジェクトでは、各営業店の表彰における点数や実績の進捗状況をグラフで一覧表示する機能を構築した。この機能により、営業店は自店の位置づけを一目で確認できるようになっただけでなく、各表彰項目をクリックすると、その根拠となる実績の明細まで出力する機能も実装された。
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同行 営業本部 営業推進部 企画役 森田宏氏は次のように語る。
「これまで業績表彰の明細を各営業店からワンクリックで見ることはできませんでした。そのため、営業店から『自分たちが把握している実績と表彰内容に差異があるので明細を教えてほしい』という問い合わせをもらうこともよくありました。DYNATREK導入後は明細まで出せるようになったので、このような問い合わせはなくなりました」。
営業店側で点数の進捗表を作成する必要がなくなったことに加え、営業店から本部への問い合わせを大幅に減らすことで、本部内での表彰関連業務の効率化も実現。
営業実績管理のフォーマットなどは、業績表彰と連動して毎期ごとに管理方法が変わることが一般的である。従来のウォーターフォール型でのシステム開発ではこの変化に追いつけず、複雑なExcel管理が発生してしまうことは金融機関共通の悩みだったが、DYNATREKは導入した各社で管理方法を随時変更可能である。この高い柔軟性によって、営業実績の見込み管理や業績表彰などのシステム化が実現した。
また、森田氏は次のように説明している。
「画面に数値を入力すれば本部と営業店とでリアルタイムに情報共有ができ、確定した数値から順に集計表にまとめていくことができます。営業店に速報のような形で表彰結果を素早く知らせられることもメリットです」。
004
ダイナトレックによる効果②
案件をリアルタイムに共有することで
本部と営業店の協働を推進
「営業店が DYNATREK 上で入力した情報が、本部でも即時確認できることも大きな効果だと認識しています」と森田氏は語る。営業店で動いている案件の状況や、月末の着地見込みについて、随時本部で確認できることは、結果として営業活動の敏捷性の向上にもつながる。
月末・期末になるとリスクアセットや自己資本比率などの観点からも、大型案件に関しては本部と営業店の綿密なコミュニケーションが欠かせない。もちろん、融資支援システム等の仕組みは従来からあるが、まだ成約が確定していない案件情報の段階から、期末着地の目線を持って情報をリアルタイムに共有できる仕組みを構築したことは、本部と営業店のコミュニケーションの質を大きく向上させることとなった。
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005
今後の展望
三十三銀行のデータ利活用
DXの軸となるシステムへ
今後の活用の展望としては、貸出金構築表や業績表彰の作成に限らず、 DYNATREK を活用して、新たな業務フローなどを構築していく予定だ。脇内氏は「現在、行内でデータサイエンティスト養成講座の受講者を募集していますが、多くの若手が応募してきています。DYNATREK を用いて、こういった人材が、営業現場とともに業務フローを改善していくのが目標です」と語る。
さらに、森田氏は「各営業店へ提示している業績表彰の明細について、今後どの分野の営業を推進していくべきかを考えるための材料にすることも、今後の活用として考えています」と語る。業績表彰の実績還元をさらに発展させ、「全行での経営目標を達成するため、個々の店ではどのような営業活動が有効か」といった、より有効な活動を促す取り組みを進めている。
DYNATREK は、2012 年の地銀初導入以来、10 年間で約 30 行の地方銀行での活用事例を重ねてきた。このため、同行では合併以前より DYNATREK の活用に興味を持ち、検討を進めてきた経緯があった。
同行 常務執行役員 加藤 忍氏は「従前より DYNATREK については情報収集を行ってきており、既に導入した他行の視察などもいくつか行ってきました。これらを通して、旧二行の合併に伴うシナジーをさらに促進する鍵となるツールだと確信し、今回の導入に至り、早速に大きな効果を産み出しているところです。当行では、ビッグデータの活用によるマーケティングへのデータ活用など、新たなビジネスの創造に向けた DX の推進活動に力を入れています。DYNATREK は行内のデータとクラウド上のデータの融合にも活用できることから、今後の当行におけるデータ利活用、ひいては DX の一つの軸となっていくことを期待しています」と語っている。
- 企業情報
- 三重県四日市市に本部を置く地方銀行で2021年に三重銀行と第三銀行が合併して発足。国内に171店舗、127拠点を構え、2,377名の従業員を擁する(2023年3月31日時点)。「地域のお客さまから愛され信頼される金融グループとして、地域とともに成長し、活力あふれる未来の創造に貢献します」という経営理念を掲げ、三重県・愛知県を中心に営業店を展開している。
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